2016年01月05日

今までの10年、これからの10年

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AOS Japan 最高顧問 高橋 恭久

昨年の2014年12月20日に、P-I Brånemarkがこの世を去ってから今日でちょうど1年が経った。
私自身は、生前に近くで一度しかお会いすることが出来なかったが、どういうわけか、彼が亡くなることで私のインプラント人生は大きく変わることになった。

彼が亡くなった2日後にとても強いインスピレーションを得て、”Pyramid”という新しいインプラントのデザインに着手したことがキッカケだった。
それまでの私は、ITIからの教育理念に支えられて様々な活動を行ってきたが、5、6年前より模索し続けている『インプラント生体力学』への探求が、ITIだけでは解決できず、P-I Brånemarkの残した過去の業績に向かわせることで、私自身に大きな視野を与えてくれたのである。

インプラントの構造と形状は、現在多様に変遷を重ねてきた。
しかしながら、その基盤となる構造はさほど大きく変化したわけではない。
その構造と形状が生み出す、力学的応力分散が周囲骨へ与える影響を探求しようとすればするほど、P-I Brånemarkが発見した”Osseointegration”の科学に辿り着くのである。

彼は、1950年代当時、”血液循環”こそが『Osseointegrationの鍵』であることを示していた。
今現在、私たちインプラント臨床家はそのことをすっかり忘れきってしまっている。
これからのインプラント歯科学を考える上で、私自身、最も重要視しているのがこの“血液循環の科学”である。
血流を妨げない、あるいは、血液循環を豊かに保つインプラントの構造と形状、そしてまた、治療法とは何なのか?
未来の骨科学を考える上で、その重要な鍵を握るのは、やはりこの人、この世を去ることで改めて気づかせてくれた、P-I Brånemarkなのである。

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故ブローネマルク博士



Art of Oral Science(AOS)からAcademy for Oral Science(AOS)へ
−今までの10年、これからの10年−


私たちのスタディクラブ、AOS Japanは、来年度の2016年でちょうど10年を迎える。

2006年に発足以来、様々な試みで活動してきた。
10年前に比べれば、格段にその水準を上げてこられたように思う。
集団を成すからこそ、成し遂げられること、活動できることがある。
学会活動やセミナー活動など、対外的な活動も多く行ってきた。

そして、今まであまり取り組んでこられなかったこと、個々の講演活動、執筆活動ならびに研究活動などについては、10年を迎えたこれからチャレンジしてゆく活動内容であると思える。
そういう意味で、これからは、メンバーの量ではなく質であると考える。
質の高いメンバーがチームを構築することによって、活動していけることが、日々の臨床の合間を縫って集まる、価値ある時間を共有できるグループにしたいと思う。
これからのAOSに新たな名前『Academy for Oral Science (AOS) 』を与え、より活発に活動できるチームとなることを願う。

「生体組織は人間よりも賢い」 −小宮山彌太郎

小宮山彌太郎先生から贈られたこのお言葉の中に、私たちが探求し続けるべき全てが内包されているように思う。

2016年の年頭挨拶に代え、感謝を込めて。

2015年12月20日



追記1:
P-I Brånemark News
故ブローネマルク博士が世界を良い方向に変えた発明や発見をした科学者、発明家の栄誉を讃えている『National Inventors Hall of Fame』(全米発明家殿堂)の2016年リストに選抜され、殿堂入りした。

追記2:
National Inventors Hall of Fame
1973年に米国特許庁と米知的財産法律協会により設立されたアメリカのNPO法人。米国の特許を持ち、世界を良い方向に変えた発明や発見をした科学者や発明家たちを「殿堂」のメンバーとして迎え入れることで、その栄誉を讃えている団体である。選抜は毎年一回、初回はトーマス・エディソンが殿堂入りしている。また、2012年 スティーブ・ジョブス、2015年 中村修二教授 (青色発光ダイオード) が殿堂入りしている。
National Inventors Hall of Fameは、選抜理由として以下のように報告している。
ブローネマルク博士が骨とチタンの結合を発見したことにより、インプラント技術の分野だけでなく、歯科顎顔面および整形外科リハビリテーションの分野にまで革命をもたらした。」「革新的なインプラント修復ソリューションによって世界中の何百万もの人々の生活の質が改善している。


資料1:
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1952年、Osseointegration発見に至った研究

資料2:
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1965年、最初のインプラント患者であるイエスタ ラーソンさんと。そこに示されたカルテには、その治療法について入念に検討されていたのがわかる。

資料3:
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最初のインプラント臨床コース。一つ一つの小さな積み重ねが、結果として世界に広がり、人類全体へ影響していった。

資料4:
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若かりし頃のP-I Brånemark



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インプラントスタディーグループ AOS Japan 事務局
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FAX: 0467-76-8778
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